【体験談】NCLSを受講してきた|内容・試験・難易度を現役SCU看護師が本音レビュー

NCLS受講体験レビューのアイキャッチ 業務スキル・現場ノウハウ

NCLS(Nursing Cardiac Life Support)は、看護師のためにつくられた急変対応コースです。関東の会場で実際に受講してきました。

この記事では、当日の流れ・試験の難易度・受講して感じた本音を、現役看護師の目線でまとめます。「受けようか迷っている」「ICLSとどっちがいいの?」という方はぜひ判断材料にしてみてください。

NCLSとは?看護師のためにつくられた急変対応コース

NCLSは、急変対応.net(コードブルー)が開発した、看護師向けの急変対応・二次救命処置の研修です。ABCDEアプローチによる初期評価から、CPR・AED、呼吸管理、心停止アルゴリズムまでを学びます。シミュレーション中心の1日コースです。

似た名前のコースが多いので、違いを表にしました。

コース主な対象特徴
院内BLS研修全職種・胸骨圧迫とAEDが中心
・市民向け講習と近い内容のこともある
ICLS医師・看護師など多職種心停止後の最初の10分間のチーム蘇生に特化(日本救急医学会)
ACLS医師・看護師・AHAの世界標準コース
・薬剤、心電図まで踏み込むが医師視点が多い
NCLS看護師院内で多いPEA・心静止への対応と、看護師が現場でどう動くかを学べる

NCLSならではの特徴は、心停止した状態からではなく、前兆の段階からシミュレーションが始まり、PEA・心静止に至る流れと原因検索を踏まえて動く訓練ができる点です。受講者は看護師が中心です(私が受けた回は全員看護師でした)。詳しい開催情報はNCLS公式サイトで確認できます。

私がNCLSを受けたきっかけ

受けた理由は2つ。教える側としての学び直しと、電気ショックが不要な心停止の訓練不足を埋めるためです。

私はBLSインストラクターと病棟の急変シミュレーションの担当をしています。
「看護師に特化した急変対応コース」という紹介を見て、自分の学び直しと教え方の勉強を兼ねて申し込みました。

もうひとつの理由が、電気ショックが不要なパターンの心停止をほとんど訓練したことがなかったことです。
JRC蘇生ガイドライン2020によると、院内心停止の初期波形はPEA(無脈性電気活動)が41.1%、心静止が29.5%。約7割は、電気ショックの適応にならない波形で始まっています(出典:日本蘇生協議会 JRC蘇生ガイドライン2020)。

それなのに、病棟のシミュレーションではVT、VFばかり扱っていました。ここを埋めたくて申し込みました。

当日の流れと内容【所要は約7時間】

当日は約7時間、座学は少なめでほぼ1日シミュレーションです。

私が受けた回は、受講者1桁の少人数に対してインストラクター3〜4人+コースディレクターという手厚い体制でした。コースは次の5つのパートで進みます。

パート内容
1. 蘇生科学院内心停止の現状、電気ショックの意味
2. CPRセッション質の高いCPR、AED・除細動器の判断
3. 呼吸管理呼吸状態の評価、バッグバルブマスク(BVM)換気、エアウェイ、挿管介助
4. 初期評価・判断ABCDEアプローチ、判断と情報共有
5. 心停止アルゴリズムリーダー役も含めた総合シミュレーション

昼食は持参して会場で食べるスタイルでした。

私が参加した回の受講者はたまたま中堅からベテランまででしたが、公式サイトでは受講者のレベルに合わせて難易度を調整すると案内されており、経験年数で気後れする必要はありません。
ほかの蘇生コース(ICLS等)のインストラクターも「参考にしたい」と学びに来ていて、このコースへの注目度を感じました。

一番苦戦したのは「原因検索」

シミュレーションで一番難しかったのは、心停止の原因を探すことでした。5H5T(低酸素・循環血液量減少・高/低カリウム血症などの5つのH、緊張性気胸・心タンポナーデ・血栓症などの5つのT)に沿って考えるのですが、枠組みをなぞるだけでは足りません。「この患者さんの背景なら、どの原因が一番あやしいか」まで考える必要がありました

もうひとつの反省は薬剤のタイミングです。アルゴリズムがあいまいなまま動くと、アドレナリン投与のタイミングを平気で間違えます。「知っているつもり」と「動ける」の差を突きつけられました。

事前学習と筆記テストの難易度

事前学習と筆記テストの難易度

結論から言うと、事前学習は数時間、筆記テストは身構えるレベルではありません

事前学習は、公式テキスト(購入必須・受講料とは別)とe-Learningで進めます。私の場合は数時間で終わりました。かかる時間は、もともとの知識量で変わります。

テキストのQRコードからYouTubeの解説動画に飛べます。動画を全部見るならもう少し余裕が必要ですが、見ておくと当日のイメージがかなりつかめます。

筆記テストは基本的な内容が中心で、事前学習をしていれば十分対応できます。
合格すると修了証が発行され、履歴書には「NCLS修了」と書けます。

事前学習で優先すべきは、アルゴリズムの暗記よりも初期評価(意識・外見、呼吸、循環)とABCDEアプローチです。当日のシミュレーションは、すべてこの初期評価から始まりました。

受講して良かったこと3つ

受講して良かったこと3つ

NCLSを受講して良かったことは、「ショック不要の心停止」「チームの共通言語」「教え方」の3つです。

1. ショック不要の心停止に強くなれた

PEAや心静止のシナリオを繰り返し経験できました。「ショックできない波形のとき、看護師は何をするか」が自分のなかで言語化できたのが一番の収穫です。

2. アルゴリズムは「チームの共通言語」だと実感できた

蘇生はチームで行うものです。アルゴリズムをみんなが共通認識として持っていれば、蘇生の質もチームワークも上がります。

蘇生中は目の前の処置でいっぱいいっぱいになりますが、そのなかでも看護師が提案できることはたくさんあります。原因検索を意識して、「次はこの検査が要るはず」と先を見据えて準備する。
この動きができるかどうかで差がつくと感じました。

3. 教える側のヒントが持ち帰れた

BLSインストラクターとしては、教え方の面でも収穫がありました。

  • リアリティを出すためのマネキンの仕込み方
  • シナリオ中のバイタルサインの変動のさせ方
  • ポジティブフィードバックの徹底

特にポジティブフィードバックの効果は想像以上でした。
何もわからない受講生でも、できた部分を先に返してもらえると安心して訓練に入れます。
病棟のシミュレーションでも、PEAや心静止のパターンを扱えるように組み直すつもりです。

費用と申し込み方法

費用と申し込み方法

NCLS受講費総額は、受講料とテキスト代を合わせて、総額およそ24,000円です。

項目内容
受講料(新規)19,800円
教材NCLS公式テキストの購入が必須。製本版4,250円/PDF版3,850円(税込)
修了証筆記テスト合格で発行。有効期間2年
復習参加修了者は有効期限内なら同じコースに何度でも無料で参加できる制度
申し込みNCLS公式サイトの開催地域一覧から

※料金・開催情報は2026年7月時点。最新情報は公式サイトで確認してください。

正直、額だけ見れば安くはありません。
それでも、少人数の参加者にインストラクター3〜4人+コースディレクターがつく体制です。看護師人生で一度は受ける価値があると思います。
むしろ「この受講料でインストラクターの報酬は足りているのか」と心配になったくらいです。

ICLSとNCLS、どっちを受けるべき?

ICLSとNCLS、どっちを受けるべき?

結論:看護師としての動き方を学ぶならNCLS、多職種でチーム蘇生の型を学ぶならICLSです。

あなたの目的おすすめ
看護師として急変時に「自分がどう動くか」を学びたいNCLS
院内で多いPEA・心静止への対応を初期評価から訓練したいNCLS
医師や多職種と混ざってチーム蘇生の型を学びたいICLS
職場がICLS受講を推奨・金額補助しているICLS

ICLSは心停止が起きたあとの最初の10分間に集中したコースです。
一方NCLSは、前兆の段階での気づきと原因検索から、蘇生中の看護師の動きまでをカバーします。
「病棟で最初に患者さんの異変に気づくのは看護師」という前提で学びたいなら、NCLSが合っています

NCLSはこんな看護師におすすめ

NCLSはこんな看護師におすすめ

NCLS受講をするのにおすすめな人は、2〜3年目以降の看護師全員です。そのなかでも特に向いているのは次の方です。

  • ICU・SCU・HCUなど集中治療系の部署で働いている
  • 急変対応に苦手意識がある
  • 院内のBLS研修だけでは物足りない

ひとつだけ私が感じたことがあります。
それはBLSの知識と技術がないとコースについていくのが難しいのではないか?という点です。
コース全体が質の高いCPRを前提に進むので、CPRの知識と技術、現場の発見〜CPR開始までの流れが理解できていた方が当日はNCLSの核の部分の学習に意識を集中できると思います。
NCLSの前にBLSの受講は必須ではないですが、成人のBLSアルゴリズムや質の高いCPRについてはしっかり理解しておいた方が良いでしょう。

まとめ:迷っているなら受ける価値あり

まとめ:迷っているなら受ける価値あり
  • NCLSは看護師のためにつくられた、前兆からPEA・心静止に至る流れを踏まえて訓練できる急変対応コース
  • 当日は約7時間、ほぼシミュレーション。筆記テストは事前学習で十分対応できる
  • 事前学習の優先順位は初期評価とABCDEアプローチ
  • BLSの土台がある2〜3年目以降の看護師なら、総額およそ24,000円の価値は十分ある

急変対応の自信のなさは、「動いた経験」の不足が大きいと感じています。シミュレーションで安全に失敗できるうちに、一度経験しておきませんか?

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